2022年7月6日水曜日

BRM702さっぽろ600 過酷なり

 7/2、走ってきたのはBRM702さっぽろ600。かなりキツイブルベでした。なんとか時間内完走できたものの、フィニッシュポイントにたどり着いたのはCloseまで45分。あぶない、あぶない。今までDNFしようと考えた事はあまりないのだけど、今回はかなり追い込まれ、負の思考連鎖。いや、完走できてほんと良かった。

初日は札幌から富良野に抜け、そこから南下。占冠、平取を抜け、苫小牧まで。獲得標高はiGS630での実測値で2,100mぐらい。終始薄曇りの天気のおかげで苦しいことはなかったのだけど、ずっと景色が変わらない山間部をひたすら走る感じで、ぼーっとしてくる意識との対決。300kmブルベと考えれば、まあまあいい感じだったかと。

そしてメインは二日目。苫小牧を出発し、白老からホロホロ峠、パノラマライン、樺立峠&毛無峠コンボを決めて札幌に戻るコース。とにかく灼然のパノラマラインで色々疲弊し、色々終了。からがらPCにたどり着くも、満身創痍での樺立&毛無はホント厳しかった。iGS630の実測で3,200mぐらい。当丸は4,000mあったけど、それより疲れた感。

まずは特記事項から

1. 山岳ブルベ


実測値としては初日2,100m、二日目3,200m。合わせて5,300mほどの獲得標高であった。山岳ブルベと言われる1%の獲得標高までには至らなかったものの、印象としてはガッツリ山岳。よくよく思い出せば、初日は小盛りの山岳で、微妙に体力を削られたところに、二日目に灼熱&大盛り山岳のコンボが厳しさの要因だったかと。二日目の標高図のトゲトゲしい事。触ったら手を切りそうだ。

2. 灼熱

はい、そして今回の厳しさの要因、灼熱。初日も30度を越えることがあったものの、概ね25度以下で、夏ブルベと考えればまあまあ。やはり二日目。手元のiGS630計測では、ピークで35度。日射時間ではほぼほぼ25度超えという気温。加えて太陽を遮る木陰がなく、足下にパノラマ、背中に太陽を背負っての登攀で、活動限界に達した模様。


3. 尻痛対策


引き続き2重尻パッド検証。今回は600kmなので2日で2枚利用。結果として600kmも走ればそこそこ痛みも出てきて、300kmで感じた「絶対的優位」は感じなかった。まあ今回のコースからくるダメージ、また2枚中1枚はパッド性能がいまいちなものだったという事もあり、そのへんを加味すると、効果はあったと判断していいかと。という事で2重尻パッドは、オイラのブルベ必須装備となりました。帰宅後、↑のデザインのパッドはポチリました。


4. iGS630

今までブルベの道案内はeTex30xだったのだけど、eTrexにナビをさせるための下準備がめんどくさくなってきた。そんなこんなで脱eTrex計画発動。ということで今回はその代替品として期待しているiGS630を投入。

これに関しては別エントリーできっちりまとめようかと。ざっくりとした感想としては、まあ使えるとは感じたものの、安定のeTrexに比べると不安に駆られた事も。慣れかな。ひとまず今回はeTrexなしで乗り切れたので、しばらくはiGS630頼みのブルベを続けて行こうかと。



さて詳細

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600kmのブルベではあるが、暖かく、雨の可能性もほとんどない予報。ドロップバックも使ったので、かなり軽量装備で挑むことはできた。サドルバックまでつけてはいるものの、各バッグはスカスカ。重量は12.3kg(ウォーターボトル無し)。これは600km装備としては自己最軽量。ちなみに去年の宗谷は13.6kgでした。

今回のスタート/フィニッシュポイントは札幌菊水水上町のローソン。自宅からは遠くはないものの、豊平川渡る必要あったり、不案内な場所なので早めに出発。5:20頃には到着したのだけど、すでに多くの参加者がウヨウヨ。ランドヌールの朝は早い。


受付完了し、皆が動き出したのは5:55頃。まずは127km地点のPC1が目標。ただ55km地点の三笠のセコマ後はコンビニ空白地帯。なので多くの参加者がここで休憩。補給して、補給物資補給してすぐにリスタート。


その後は桂沢湖の脇を抜け、富良野を目指す。何度か走った道ではあるものの、この桂沢湖から富良野に抜ける道の登りが楽ではない。路肩も荒れているし、交通量も多い。それでも知っているのは大きく、淡々と走り抜ける。

そして127km地点のPC1、ローソン上富良野大町店に到着。そしてそのPC1をスルーし、隣接しているとんとん亭にピットイン。

ロス無く寄れそうだったし、何やら豚サガリ丼というのが魅力。美味しくいただきました。

豚サガリ丼。PC1 127kmへの到着は11:46

そしてPC1に戻り。レシートゲット&リスタート、淡々走り再開。富良野近郊はやや開けているものの、基本、変わり映えのしない山間道が続く。他のランドヌールに追いついたり、追いつかれたりしながら、通過Cに到着。帝国ホテルとしては、趣のある作りである。

通過C 147.9km 12:55

予想通りに変わり映えしない風景が眠気を誘いそうだったので早めのカフェイン錠と、Radikoをかけてリスタート。そして50kmほど淡々と走って、自主休憩ポイントの道の駅 占冠に到着。

197.6km 15:25

はい、ここまで走って約200km。ブルベ一本分の距離を走りながら、ただただ北海道の山道を淡々と走った200kmである。時間的には計画より1時間30分ほど前倒し。山道を通るブルベとしては順調である。

ここでまったり方向に舵を切るのも選択肢であるが、今回のブルベは二日目がヤバそう。なので宿に早く到着できるなら、その貯金をもって二日目に挑みたいところである。

特に目ぼしい所もなかったけど、一応下調べしたロケーションに寄ってみた。一箇所目、231.5km地点のトトロの木。その形状がトトロに見えることから、景勝地になっているようだ。今は臨時休業との事だったが、それでもトトロの形に見えた。


231.5km地点、トトロの木 17:17

んー、輪郭がぼやけ始めているので、床屋に行ってさっぱりしたほうがいいかもね。前回のブルベでは猫バスに会えたので、猫バス->トトロ コンボ完成である。

そして次は236.3km地点にある振内鉄道記念館に寄り道。蒸気機関車といえばデゴイチ。小学校の国語の教科書にも出てきたし、機関車トーマスに出ているヒロのモデルになっている。それがここにある。


236.3km 振内鉄道記念館 17:30

特に鉄道に思い入れがあるわけでなないのだけどデゴイチは一度見てみたかったのですよ。D51のプレート、かっこいいな。


その後、他のランドヌールと同走しながらPC2。そしてPC2の平取セブンから苫小牧までが真っ暗タイム。いかにも鹿さん雰囲気な所で、リアル鹿さん飛び出してきたり、車に牽かれてお亡くなりになってる鹿さんを目撃したり。


そんなこんなを繰り広げながら、宿泊地の苫小牧、東横インにたどり着く。

312.4km 東横イン 21:20

時間は21:20である。計画より1時間30分ほど前倒しと極めて順調。湿布的なものを足中に貼りまくり、QPコーワを飲み、体力回復の策を講じてとっとと就寝である。




そして二日目スタート。

体力回復策を講じたものの、寝過ごしが心配だったので電気をつけて就寝。そのおかげか2:30に起床。身支度し、ドロップバックを返送し、チェーンオイル補給し、なんだかんだでリスタートしたのは3:40。

東横イン出発 リスタートは3:40

予定より20分ほど早めにリスタートできたのであるが、この20分は大きかったと思う。リスタート後は海岸線を淡々と進む。天気は悪くなさそうであるが、ガスがかかって真っ白である。

最初のチャレンジはホロホロ峠。峠直前のセコマで補給しようと考えていたのだけど、その前にあるセブンでmugenさん夫妻が補給している。考えると時間的にセコマはやっていないので、セブンに寄るべき。Uターンしてセブンで補給と補給食ゲット。

セブンイレブン 白老大町店 4:58 

セブンでの準備は短時間で終わったのでmugenさんの奥さん、ecoさんに「たぶんホロホロで抜かれると思うので先行きます」と挨拶して先行。ecoさんからは「そんな事ないですよ」的な返答だったけど、んなわけない。

そしてホロホロ峠は今回初挑戦である。ピークまでの前半は、割となだらかで気持ちよい。「最後までこんな感じならいいのになー」と思うのもつかのま、後半に入ってくると俄然斜度がます。ヒーヒー言いながら登ってると、颯爽とecoさん、mugenさんが抜いていく。やっぱりね。

それでも一日がスタートして間もないのでまだ元気。ヒーヒーいいながらも登頂。

358.2km ホロホロ峠 休憩場 6:35

ここでしばし休憩。mugenさん夫妻はグルメ計画を算段している。オイラにはそんな余裕はなく、当丸コースターでつかった「頂上でアミノバイタル飲んで、下っている間に回復作戦」を実行。


上りでは仇となる体重も、下りとなれば友達である。ホロホロからの下りは快適そのもの。洞爺湖までは先行させてもらいました。そして洞爺湖はびっくりするぐらいの穏やかな景色。湖面も凪いでいて、鏡写しの中島が見えた。

洞爺湖 8:13

この頃はまだ心理的に余裕があったかな。海岸線に抜けるあたりでケンジさんと一緒になり同走。そして豊浦から内陸に入り、当面の目的地はパノラマライン頂上へ。一応インディアン水車の写真を1枚。まあそもそも営業してないんですけど。


そして地獄の登りが開始。

まずは豊浦から昆布のあたりまで、前哨戦の峠を越えるのだけど(名称不明)、とにかくスピードが出ない上に、果てしなく登っている感じなので、メンタルが厳しい。それでも目前にはh川さんがずっと見えていて「h川さんと同じペースで走れていれば何とかなるであろう」的な考えで進み、まずは昆布までの峠をクリア。目前にはニセコのスキー場が見え始める。なんと絵になる景色であろう。ただしこれから先にはさらなる地獄が待っている。


そしてパノラマラインに入る。
俄然苦しくなる。

斜度ももちろん厳しいのだけど、灼熱が追い打ちをかける。サイコン表示で、最高で35度ぐらい。前を向く事もできなくなり、真下にある路肩の境界線の白線を見て進む。足が全然回らない。ペダルを踏む足にも全然力が入らない。活動限界が近い感じだ。

暑さに耐えきれず、たまに訪れる脇の木陰に身を隠し、水を飲んだり、アミノバイタル飲んだり。ただここでまめにアミノバイタルを飲んでいたおかげで、熱射病にもならず、ギリギリ保てたような気がする。

左手に旧チセヌプリスキー場が見えた。もう少し進めば、温泉施設があったような。このときは名前も思い出せない状態であったが、そう雪秩父である。


命からがら滑り込んだら、ゆーくんとh川さんも日差しを避けて休憩していた。時間を見るとなかなか厳しい。次のポイントは通過Cの神仙沼であるが、仮想Close時刻で考えると、タイムアウトするかしないかのギリギリのライン。

今回は本当にダメかも、と本気で考える。DNFするなら、なんとかパノラマは登りきって岩内でJRするか、ここで折り返してニセコでJRするか。売りつくした脚力では、パノラマピークすら厳しそうだが、軽トラの人をヒッチハイクできれば、岩内までいけるかも、とか。もう頭の中は負の思考サイクル。気持ちも全然、前に向けない。
どうする、どうする。

そんな思考のループの中で思いだした。最近、いろいろ頑張り事が増えてきている小学生の息子に「諦めるな。最後まで頑張れ。」的な檄を飛ばす機会が。子供に言っていた言葉がブーメランで戻ってきた。せめてFとするならPCでタイムアウト確定まで粘らないと、自信をもって「最後まで頑張った」と息子に言えないなと。

という思考ができたのは、雪秩父でクーラーの聞いた小部屋で少しでも休めたからかもしれない。「足が動かないなら、歩いてでもいいから登ろう」と決意して雪秩父を出発。


ここを曲がれば五色温泉ですね。BCで行った記憶しかないけど、今回はここを直進である。此処から先の斜度は、完全に足を使い切った自分には厳しく、速攻で押し歩きに。最初は抵抗があったものの、斜度がある場所だと、自転車乗ってても、押し歩きでも、たいして速度に差はないという気づきも得ながらボテボテ進む。

時間的に後続は来ないだろうし、たぶん潔くFるのが正解だろうなと思いつつ、ボテボテ歩いていると、なにやら軽快なチェーン音が後ろから。

ecoさんである。

ホロホロ峠で抜いていったときと同じく爽やかに抜き去っていく。その姿からFなんて微塵も考えてなさそうな。もう後続は来ないと勝手に思い込んでいた思考が完全に打ち砕かれた。諦めずにがんばるというのはこういうことだ。

負けの思考が反転し、気持ちが一気に前を向いた。
そして自転車に乗った。
そしてすぐに足を使い切っている事に気づき
そしてすぐにまた歩き始めた^^

でもいいのである。気持ちが前向けばなんとかなる。斜度が厳しい所では押し歩き、比較的緩やかになればインナーローでボテボテ。それを繰り返して、なんとかパノラマライン登頂。


登りきったときは「やったー!」と叫んでしまった。その傍らをmugenさんも颯爽と通り過ぎていきました^^ mugenさん夫妻強い。

少し進んで通過Cの神仙沼。


ナポリン500ccとソフトクリームを食べて、何とか気持ちも回復。神仙沼駐車場には多くのローディー。


少し休憩してリスタート。すでに仮想Close時刻を20分ほど過ぎている。ただしここから岩内までは超絶ダウンヒル。ちなみにダウンヒル速度はこのブルベで絶好調。次の通過Cまで豪速。結局このダウンヒルで貯金ができるまでに盛り返す事ができた。


次の目標はPC3の倶知安。そこをクリアできれば完走までの目処がたつ。距離にして25kmぐらいだからへっちゃらと思いきや、その間には倶知安峠というのがあったことに後から気づく。予想外の登りが続き、真綿で首が絞められる思いだけど、ここは踏ん張りどころ。

507km ローソン倶知安北6条店 15:03

なんとか貯金45分でPC3に到着である。ここでは多くのランドヌールが休憩。ここまでくれば一安心である。20分ほど休んでリスタート。写真を撮る余裕も少し出てきた。右手には羊蹄山。

残すは樺立峠と毛無峠。勝手知ったる道なので、なんとかなるさ、と思っていたのが怖い所。樺立峠は短めだったので、拷問時間は短めで済んだものの、赤井川道の駅で休憩したあとの毛無峠が厳しかった。

「あれ、こんなにダラダラと長く登るんだけ?」と当惑。よくよく思い出せば、昨年当丸コースターで走ったときに「毛無ピークから道の駅までずっと下りで楽しかった」と感じていた事を思い出す。そりゃ逆から走ればずっと上りだよ。特に道の駅からキロロ入り口までが途方もなく遠く感じ、足が動かない事も重なり、ガッツリ負の思考ループに。

またもや「もう今回はだめかもしれない」と考え始める。特にキロロから小樽までの道は冬の間に何度も何度も往復しているので、どういうコーナーが連続し、どのようなアップダウンがあるかも把握している。なので「下りが始まる、あの場所まで本当にたどり着けるのだろうか」「いやいやかなりあるし、キロロからホピの丘までの斜度と距離は、今の売りつくしたオイラの足には厳しいぞ」とわかってしまう始末。

空荷の軽トラがいっぱい走っていたので、ヒッチハイクすれば頂上まで連れて行ってもらえるかもなー。そうすればFできるなー。ペダルは回せず、回るのは負の思考サイクルだけ。厳しい。そんな感じでボテボテ歩いていると、なにやら軽快に登ってくる人影が。

ecoさんである。

すごいなーこの人は。ほんと登り強いのですな。その姿に勇気をもらい、歩きながらではあるけど、毛無のピークまでなんとか到着。いやまたもや救われた感。ありがたい。

登ってしまえば何とかなる。しかも勝手知ったるキロロ道。どういうコーナーが連続し、どのようなアップダウンがあるかも把握している。たぶんこのブルベで一番自信をもって走れる区間である。そんなこんなで毛無下りを激走して、通過Cに到着。


仮想Close時刻まで41分の貯金

セブンではishimaさんと「PBP並みに厳しい!」という同じ感想を話しあう。ここで難問すべて解決かと思いきや、どうやら札幌にもどった後は創成川通りを南下するようで、そこでの信号峠が厳しそうとの事。

それはヤバそうという事でそそくさと出発。途中の張碓峠は今回も丘に変わってました。そして札幌に入ってからも大変で、オロロン街道、新川通りでは思うように進めず、挙げ句最後の創成川通りは、信号2回に一回は毎回赤に引っかかるという超絶信号峠。早めに通過Cを出発しておいてよかった。


最終的には39時間と15分でゴール。フィニッシュポイントのClose時刻まで1時間を切ったのは初めての経験。ドキドキ感、半端ない。

ホント、厳しかった。今までで一番厳しかったブルベはPBP、2番目は島牧400、3番目は石狩平野400でしたが、今回のさっぽろ600は2番目にランクインするかな。そしてF検討ブルベとしてはぶっちぎりでNo1。

それでもさっぽろ600は出走できてよかったと思う。平坦多めの北海道ブルベの中では異色だし、挑戦目標としても続いてほしいと思います。細部リファインすれば、いいブルベになるかと。今後の発展に期待してます。

今回一緒に走ってくれた皆様、主催者のみなさま、ありがとうございました。


次回は、
次回は何になるのだろう。。。
未定です。よろしくお願いします。

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